巻七巻|賀
巻七巻|賀
364
峰高き
春日の山に
出づる日は
曇る時なく
照らすべらなり
峰高き
春日の山に
出づる日は
曇る時なく
照らすべらなり
363
白雪の
降り敷く時は
み吉野の
山下風に
花ぞ散りける
白雪の
降り敷く時は
み吉野の
山下風に
花ぞ散りける
362
秋暮れど
色も変はらぬ
常盤山
よその紅葉を
風ぞかしける
秋暮れど
色も変はらぬ
常盤山
よその紅葉を
風ぞかしける
361
千鳥鳴く
佐保の河霧
立ちぬらし
山の木の葉も
色まさりゆく
千鳥鳴く
佐保の河霧
立ちぬらし
山の木の葉も
色まさりゆく
360
住の江の
松を秋風吹く
からに
声うち添ふる
沖つ白浪
住の江の
松を秋風吹く
からに
声うち添ふる
沖つ白浪
359
めづらしき
声ならなくに
郭公
ここらの年を
飽かずもあるかな
めづらしき
声ならなくに
郭公
ここらの年を
飽かずもあるかな
358
山高み
雲居に見ゆる
桜花
心の行きて
をらぬ日ぞなき
山高み
雲居に見ゆる
桜花
心の行きて
をらぬ日ぞなき
357
春日の野に
若菜摘みつつ
よろづ代を
祝ふ心は
神ぞ知るらむ
春日の野に
若菜摘みつつ
よろづ代を
祝ふ心は
神ぞ知るらむ
356
よろづ代を
松にぞ君を
祝ひつる
千歳の蔭に
住まむと思へば
よろづ代を
松にぞ君を
祝ひつる
千歳の蔭に
住まむと思へば
355
鶴亀も
千歳の後は
知らなくに
飽かぬ心に
まかせ果ててむ
鶴亀も
千歳の後は
知らなくに
飽かぬ心に
まかせ果ててむ
354
伏して思ひ
起きて数ふる
よろづ代は
神ぞ知るらむ
我が君のため
伏して思ひ
起きて数ふる
よろづ代は
神ぞ知るらむ
我が君のため
353
いにしへに
ありきあらずは
知らねども
千歳の例
君には始めむ
いにしへに
ありきあらずは
知らねども
千歳の例
君には始めむ
352
春来れば
宿にまづ咲く
梅の花
君が千歳の
かざしとぞ見る
春来れば
宿にまづ咲く
梅の花
君が千歳の
かざしとぞ見る
351
いたづらに
過ぐす月日は
思ほえて
花見て暮らす
春ぞ少なき
いたづらに
過ぐす月日は
思ほえて
花見て暮らす
春ぞ少なき
350
亀の尾の
山の巌根を
止めて落つる
滝の白玉
千代の数かも
亀の尾の
山の巌根を
止めて落つる
滝の白玉
千代の数かも
349
桜花
散りかひ曇れ
老いらくの
来むといふなる
道まがふかに
桜花
散りかひ曇れ
老いらくの
来むといふなる
道まがふかに
348
ちはやぶる
神や切りけむ
筑波嶺に
千歳の坂も
越えぬべらなり
ちはやぶる
神や切りけむ
筑波嶺に
千歳の坂も
越えぬべらなり
347
かくしつつ
とにもかくにも
長らへて
君が八千代に
逢ふよしもがな
かくしつつ
とにもかくにも
長らへて
君が八千代に
逢ふよしもがな
346
我が齢
君が八千代に
取り添へて
とどめ置きては
思ひ出でにせよ
我が齢
君が八千代に
取り添へて
とどめ置きては
思ひ出でにせよ
345
潮の山
さしての磯に
住む千鳥
君が御世をば
八千代とぞ鳴く
潮の山
さしての磯に
住む千鳥
君が御世をば
八千代とぞ鳴く
344
渡つ海の
浜の真砂を
数へつつ
君が千歳の
あり数にせむ
渡つ海の
浜の真砂を
数へつつ
君が千歳の
あり数にせむ
343
我が君は
千代にや千代に
さざれ石の
巌となりて
苔の生すまで
我が君は
千代にや千代に
さざれ石の
巌となりて
苔の生すまで
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